疲れたお母さんやレベルアップしたいお母さんに寄り添うケアで幸福な親子が暮らす優しい未来へ

葛西友子

葛西友子

産後専門デイケアもこもこ

葛西友子(かっさい ともこ)
四日市市出身。看護師としての仕事に疑問を持ち、助産師に転身。資格取得後、総合病院の産婦人科に勤務。結婚後、婦人科医である夫の開業を機に助産師として復帰。
母乳外来を担当し、BSケアを用いたケアに従事したのち、母児の満足度の向上を目指して「産後専門デイケア」を構想。2021年4月、三重県初のクリニック附属産後専門デイケア単独棟を設立する。

産後専門デイケアもこもこ
〒510-0035 
三重県四日市市陶栄町2-2

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世話好きな性格から救急医療の看護師を目指す

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もともとの性分でしょうか、人の世話が大好きなんです。自分があれこれ手を動かして、それで相手が喜んでくれるのが嬉しくて。それでいつの間にか、看護師を目指すようになりました。看護学校を卒業してからは総合病院に就職し、いろいろな診療科を経験しました。整形外科、一般外科、小児科。いずれも病棟勤務でしたから、入院患者さんのいちばん近くで看護にあたれることに、やりがいはありました。でも本当は、フライトナースになりたかったんです。フライトナースとは、ドクターヘリに同乗する看護師です。まさに危うい状況にある人の命を瀬戸際で救う。その緊張感に憧れて、救命救急センターのある病院に転勤したのですが、配属されたのは新生児集中治療室(NICU)でした。未熟児として、あるいは重篤な状態で生まれた赤ちゃんを、集中的に治療する部署です。ですがこの部署に配属されたことで、私のその後が大きく変わっていくことになります。

自分の仕事に疑問を持ち、助産師の道へ

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看護師というのは医師とともに患者さんの治療にあたり、その回復をサポートする役割を負っています。その仕事には私自身、自信も誇りも持っていました。ですがNICUで助産師さんと接していくうちに、自分の仕事に疑問を感じるようになってきたのです。
助産師さんは、目の前にいる赤ちゃんにとって最善の選択は何だろう、ということを常に考えて看護にあたっています。同じくお母さんに対しても、現状でできるベストの対応をとるべく、努力していました。そうした姿に、自分自身を顧みるようになったのです。
看護師も、助産師と同じく人の命に直面して仕事をしています。ですが実際の仕事では医学的なエビデンスを重視しますから「こういう時はこの処置をして、こうなったらこうする」というような、患者さんの状態に対するセオリーというものが、ある程度できあがっています。もちろん助産師さんにとっても、根拠に基づいた行動は仕事の基本でしょう。それは正しい対応ではあるのですが、当時の私は自分の仕事が「状況に応じて動く、流れ作業的な対応」に思えてしまったのです。そこから、助産師という仕事に興味を持ち、27歳で助産師学校に入学し、資格を取ることになりました。

お母さんに寄り添う産後専門デイケアを開始

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助産師の資格を取ってからは、総合病院の産婦人科に勤務していたものの、ほどなくその病院の産婦人科が閉鎖することになってしまって。私自身も結婚し専業主婦になりましたが、産婦人科医である夫の開業を機に、再び助産師として復帰することになります。そこで私が始めたのが、産後ケアです。
初産のお母さんにとっては、「母親」という役どころは初めての経験です。赤ちゃんがぐずったり泣いたりしても、何をどうすれば良いのか分かりません。ネットで調べれば、いくらでも情報が得られるように思いますが、それが正しいのかどうかも分かりませんし、情報が多すぎてどれを信頼すれば良いのか分からない、ということにもなってしまいます。これではお母さんは心身ともに疲れ切ってしまいます。そこに手を差し伸べるのが、産後ケアです。特に当院では「産後専門デイケア」というメニューを用意して、お母さんの「つらい・できない・困っている」に寄り添うケアを実践しています。

お母さんと同じ方向を向き、負荷を解消することが大切

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産後ケアで私が重視していることは3つです。まずケア対象であるお母さんを全肯定すること。生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、お母さんがいないと何もできません。逆にいえば、赤ちゃんを産んで母親になったその時から、お母さんは24時間・365日体制を強いられるのです。お母さんは赤ちゃんを育てるために、これ以上ないほどに頑張っています。そんなお母さんを批判したり、否定したりする理由はどこにもありません。
2つめは伴走するスタンスを維持すること。助産婦は、お母さんを先導し、引っ張る存在ではありません。常にそばに寄り添い、つまづきそうになった時に手を差し伸べる存在であるべきなのです。お母さんと同じ方向を向いて、うまくいかない時、困った時に頼れる存在であること。これが大切です。
3つめは、お母さんを心身ともに爽快にすることです。赤ちゃんの世話はお母さんにとって大きな負荷で、心身ともにストレスがかかります。体の疲れや痛みに加えて「もっと頑張らなくては」とか「私がしっかりしなくちゃ」といった精神的なプレッシャーもあります。そうした負荷を解消するのが、産後ケアの重要な役割なのです。

母乳トラブルを痛みなく解決する「BSケア」

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当院の産後ケアのメニューのひとつに「BSケア」があります。これはお母さんの乳房ケアの一種です。
赤ちゃんは、お母さんの乳首を吸って母乳を飲みますが、この行為だけでお母さんの乳房に起こるさまざまなトラブルが解決できてしまうのです。時として母乳が乳房に滞ってしまったり、乳管が詰まったりというトラブルが起こることがありますが、こんな状況でも赤ちゃんがしっかり乳首を吸うことで、お母さんの乳房は癒されるのです。これを手技として確立したのが、BSケアです。
従来、母乳の滞りや乳管の詰まりに対しては、乳房を強く圧迫したり、動かしたりという方法がとられてきました。ですがその手法には強い痛みが伴い、お母さんに大きなストレスを与えます。しかしBSケアは赤ちゃんが母乳を吸い取るリズムと刺激をベースにし、乳首のみに刺激を与えるため、痛みなく問題を解決できます。さらにその刺激がお母さんの脳に刺激を与え、ホルモン分泌を促す効果も期待できるのです。

幸せな親子ばかりの優しい未来を目指して

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赤ちゃんのいるお母さんは、小さな不満をいくつも抱えています。食事はゆっくり食べられないし、のんびりお風呂に浸かる時間もない。愚痴や不安をぶつけられる相手もいません。そして赤ちゃんの世話の合間に、家事もこなさなくてはならない。だからデイケアに来ている間は、そうした不満を全部吐き出して、スッキリして帰っていただきたい。そうすることで、お母さんご自身が納得できる育児ができるはずです。
私たちは自分たちの活動の先に「100年後には、幸せな親子しかいない」という理想を見ています。女性が赤ちゃんを産んで育てて、その子が「お母さんの子どもで良かった」と自然に思う。そしてその子がやがて大人になって、お母さんのような母親になる。そうした巡りを重ねて100年も経てば、幸せな親子ばかりが笑顔で暮らす、優しく幸せな世界が実現するはずです。

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