技術力と若さを武器に「伐採業」のトップを目指す

中竹秀一

中竹秀一

株式会社中竹林業 代表取締役

中竹秀一(なかたけ しゅういち)
三重県出身。大学卒業後、経営者への道を夢見て地元の地方銀行に就職。1年目から抜群の営業成績を上げる。その後、祖父が続けてきた林業に着目し、祖父の跡を継ぐべく林業へと転身。祖父から厳しい指導を受けて技術と知識を習得し、大学時代の友人も合流して、2024年に(株)中竹林業を設立。

株式会社中竹林業
〒515-2302 
三重県松阪市嬉野天花寺町927-71
TEL:080-8266-7380

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林業という仕事に、チャンスを見出す

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私は三重県の松阪市で林業を営み、山林の間伐や特殊伐採などを請け負っています。林業は私の祖父が長く手がけており、それを私が引き継いだ、という形です。
もともと学生の頃から、独立意識を強く持っていました。特に「これをやりたい」というものはなかったのですが、会社を立ち上げて一国一城の主になりたい。そうした意識はありましたね。ですが自分で事業を回していくとなれば、まずお金の流れや管理のしかたを勉強しないといけません。そこで大学卒業後は地元の銀行に入り、お客様から融資のご相談などを受けていました。
そうした日々の中で目に付いたのが、祖父の林業という仕事です。業界問わず、多くの企業が不況に苦しんでいる中で、林業は常に一定の仕事があり、売上が安定している。調べてみると日本は国土の70%が山林ですから、定期的な伐採が不可欠。つまり仕事がなくなる心配がありません。競合が少ない反面、高齢化が進んでいるため、後継者不足による衰退が懸念されている業種です。だったら自分のような若者が集まって参入すれば、勝ち目があるのではないか。そう考えて銀行を退職し、この業界に入りました。

身近にいた心強い味方

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林業というのは、単に山から木を伐って運び出す、というだけのものではありません。どの木を切り倒してどの木を残すか、伐採した木をどうやって搬出するか、そこから考えなくてはなりません。木を伐る方法は複数ありますから、現場の状況を合った最適なやり方を選ぶことも大切です。さらにロープのかけ方やチェンソーの入れ方を間違えてしまうと、伐った木が思わぬ方向に倒れてしまい、事故を招く危険もあります。おそらく一般の方々がイメージするよりも、林業は多くの技術や知識が必要な仕事です。
ただ私には、祖父という強い味方がいました。その元で3年間、それこそ休みなしで修業に励みました。かなり厳しく叩き込まれましたが、そのおかげで短期間のうちに独り立ちできるまでに成長できたのですから、本当に感謝しています。祖父は現在では現場を離れていますが、私たちの相談役・教育係として、豊富な経験から生まれる的確なアドバイスをもらっています。

技術力と若さ、主体性が大きな強み

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弊社の強みは、まず高い技術力です。もともと祖父は地元でも一目置かれるほどの職人ですし、数十年におよぶ経験があります。それを惜しみなく私たちに提供してくれることで、私自身もスタッフも、短期間で腕を上げることができています。
また学生時代の友人2人が私の状況を知り、弊社に参加してくれたことも大きかったですね。高齢化が進むこの業界で、私たち若い世代が活躍することで、業界のイメージを変えることにもつながるかもしれません。ベテランもいるけれども、若い職人も育っている。組織としてもちょうど良いバランスを保てていますね。
また伐採は数人がチームとして連携することが不可欠なのですが、そこで1人でも「指示待ち人間」がいると、全体の動きが鈍くなります。ですから弊社では、社員全員が仕事に対して主体性をもって取り組めるよう、教育の段階から注力しています。伐採作業はひとつ間違えると大きな事故にもつながりかねない危険がありますし、安全は何よりも優先しなくてはならないことです。ですから弊社では、安全を最優先しながら効率的に作業を進めるためにはどう動けば良いかを考え行動する、そうした主体性・自律性を重視して社員教育にあたっています。

「特殊伐採」に新たなチャンスを求めて

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林業というと、山林に入って黙々と木を伐りだして…というイメージが一般的だと思います。確かにそうした「間伐」の仕事が中心ではあるのですが、私たちは「特殊伐採」にも力を入れています。
伐採の対象になる高木は、山林以外の場所でも見られます。分かりやすい例を挙げれば、神社やお寺の境内の樹木です。また一般家屋でも、古いお屋敷では大きな木がそびえていることがありますし、山あいの道路では道に張り出すように木が伸びていることもあります。自然公園のように利用される川や渓谷は、倒れる危険がある木が見つかったりします。こうした山林以外の樹木を対象とするのが、特殊伐採です。
特殊伐採は、植木屋さんや造園屋さんが対応することもあるのですが、幹が太く高い木になると「うちの手には負えない」というケースがあります。また立地の関係から、重機やクレーンを入れられない、ということもあります。そうした場合にも対応できることから、弊社に依頼が来ることも少なくありません。こうした特殊伐採はまだまだニーズが眠っているはずです。ですから、自治体や組合経由で請ける仕事のほか、お客様から直接仕事を請ける、B to Cの案件を増やしていこうと考えています。

自分たちの特徴と独自性を考えてみると

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会社として第一に守るべきは作業の安全です。私たちの仕事は高所作業が多く、少なからず事故の危険がつきまといますから、作業の安全は最重要の項目です。ですから現場…特に特殊伐採の現場に出た時には、周囲の状況を見て、どうすれば安全に作業できるか、というところから考えていきます。
この手順の組み立ても、安全作業には重要です。私たち職人の世界では「仕事は8割が段取り」などと言われます。実際にその通りで、事前の準備をしっかり行い、状況に合った作業手順を立ててから仕事にかかれば、短時間で作業を行えます。このスピード感は常に重視していますね。
さらに弊社の特徴を挙げるとしたら、やはり「若さ」でしょうか。会社自体が2024年の設立ですし、この業界には珍しく若い社員が在籍しています。彼らは吸収力が高く、技術でも知識でもどんどん身につけていきます。また良い意味で固定観念がないというのも、弊社の独自性でしょうね。若い社員には、工場の管理職やバリバリの営業マンなど、林業とは無縁の業界出身の者がいますし、歌手としてネットデビューしたり、SNSで情報発信したりしています。守るべき基本を押さえながらも、こり固まった古い考えにとらわれない。これは他社にはない独自性だと思います。

伐採業を確立し、地域トップの存在になりたい

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私たちの仕事は「林業」でひとくくりにされることが一般的なのですが、私は「伐採業」という業種として確立させたいという気持ちがあります。
もともと林業というのは「山林の経済的利用」を指す、とても幅の広い言葉です。製材用の樹木の伐採のほか、樹脂や薬草、キノコ類の栽培も林業の範疇です。さらに植林や育成など、山林を育てる仕事も林業の一部です。もちろん弊社に、そのすべてはカバーできません。それならいっそ、伐採という領域を深化させ、ひとつの業種として掲げられるまでに研ぎ澄ませていきたいのです。
また今後の展望としては、まず1年に1人ずつ若い社員を採用していき、戦力を拡充するとともに売上を増大させていくこと。そして5年後の2030年を目処に企業買収を図り、事業規模と人材を一気に大きくすることを考えています。おおよそのビジョンはできているのですが、市場や社会の情勢は常に変化していきますから、それに合わせて細かなプランは変えていく必要がありますね。いずれにせよ、伐採業務に関しては三重県のトップを狙い、ゆくゆくは東海三県でも上位に食い込んでいきたいと考えています。

古さと新しさを融合し、より素晴らしいものを

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年長者は「今の若いモンは」と眉をひそめ、若者は「これだから年寄りは」とため息をつく。これはいつの時代もどの業界でも、変わらないことかもしれません。ですが先人から伝えられたことには、それだけの重みがありますし、時代に即したアイデアを出せるのは若者ならではの強みです。どちらかに偏重するのではなく、それぞれを大切にし、主体性を持って動けば、より素晴らしいものが生まれるのではないかと思っています。
そのためにも、若い人たちに私たちの「伐採業」をもっと知ってもらいたいですね。景気に関係なく安定した業種ですし、山林に入れば、毎日森林浴しながら仕事をしているようなもの。PCやスマホに縛りつけられる仕事よりも、はるかに快適だと思うのですが、いかがでしょうか。



株式会社中竹林業
https://www.instagram.com/ringyou1118/